2009年9月12日土曜日

ラプンツェルの翼とモンティホール問題

土橋真二郎の『ラプンツェルの翼』3巻読み終わりました。前後編の1巻目でしょうか。
次の巻に続く様子。

以下、ネタバレ


「A,B,Cの扉から1つを選べ」という問題がありました。そして、これはモンティホール問題と呼ばれるものの一種のようです。

3つの道があり、いずれかの道には怪物がいて、そいつと鉢合せしたら食べられてしまうというものです。
厳密な正解は与えられず、それぞれ、
Aの道「10人中、4人しか通り抜けられなかった」
Bの道「10人中、3人しか通り抜けられなかった」
Cの道「10人中、3人しか通り抜けられなかった」

と紹介されます。確率の問題であり、高い確率を選んだとしても、結果的に不運にも遭遇してしまうことはあるはずなのですが、これは知能ゲームの一種です。もっとも生存率を高い方法を選べば、結果的には「怪物に会わず、通過することができました」となり、つまりそのまま課題クリアということになるのだそうですが……
問題発表以後、この問題はAの正解率40%、Bの正解率30%、Cの正解率30%として、通過できる合計が100%のうち、「3つのうち1つだけある正解どれかを選ぶ問題」として主人公らに認識されています。

それでいいのか?とちょっと思いました。合計が100%になるのは偶然なのかどうか。
3つの道には気まぐれに出歩いている怪物がおり、それに遭遇しやすい道、しにくい道があるという程度だと思っていました。その場合、3つのルートが、それぞれ80%、70%、70%とかでもいいんじゃないか?とも思い、少々主人公らの考え方が「決め付け」にも見えたものでした。

……よく読んでみれば、結局、これは偶然ではなかったようでした。
条件のところに、「道に立ちふさがる怪物は2匹いて、2匹がいないもう1つの道を選べば正解です」という説明もちゃんと入っていました。

2匹の怪物が、3本の道に、それぞれ60%、70%、70%で配置されることになります。こちらの配置率の合計は200%になります。2匹いるのですから。 そして、通過できる可能性の合計は100%になります。空いている道は必ず1箇所だけなのですから。

仮に4本道に2匹の怪物だったら、通過できる確率の合計は200%、怪物配置率の合計は200%、
4本の道に3匹の怪物だったら、通過できる確率の合計は100%、怪物配置率の合計は300%となります。


それはそうと、最初に書いたとおり、この問題はモンティホール問題というものの一種になるようです。
時に「パラドックス」とも紹介される、難解な問題です。
私は今回初めて知ったので、これを読んだとき、何か間違ってるんじゃないかとも思いましたが……

有名な問題であることは2chの土橋真二郎スレを見て知ったのですが、以下の記事を見てようやく納得しました。
モンティ・ホール問題 - Wikipedia

DOFI-BLOG どふぃぶろぐ ネコでもわかるモンティホールジレンマ


猫でもわかるほうを見て、ようやく分かった気がします。
分かった気がするものの、どこか気が晴れません。結果は理解しましたが、どうしてこの結果が出るのかのロジックを100%は理解できていない気がします。どうにも気持ち悪いです。

10の選択肢から1つを選ぶとかだと、もう異論を挟む余地がありません。しかし何か自分の言葉で上手く表現できるまではがんばってみたい気もします。


そこで、もう一度、3つの選択肢の問題で考え直してみました。

AとBとCから1つの正解を選ぶ設問で、プレーヤーはAを選んでみた。
→ディーラーがCをオープンにした。
……このとき、
・Aが正解で、B,Cから無作為に選んだ
・Bが正解で、Cを選ばざるをえなかった

のように、B,Cいずれもが不正解である場合と、Bは実は正解だからディーラーには選べなかったという場合があります。
このときディーラーは、こちらが選んだAを見せてくれるわけでもない。かといって、うっかり正解をポロリしてくれることもありえない。明らかに人の意思が絡んだ…つまり、確率論上の説明でよく見かける「無作為な」行動ではない。確実に、不正解の選択肢の中身が明かされることになっています。

このような、ディーラーの意図的な行動の結果、
・1/3の確率でプレーヤーが正解を引いてしまっていた場合、B,Cからランダムに選ばれることになる。
・残りの2/3の確率においては、プレーヤーが選ばなかった2つのうち1つが正解なのだから、そっちをめくるわけにはいかず、ディーラーは意図的に正解を外した選択肢を選んでみせなければならない。つまり、2/3の確率でプレーヤー、ディーラーが協力して正解の選択肢が燻り出されている状況が作りだされる。

よって、プレーヤーの手の下にある選択肢の正解率は1/3で、プレーヤーが選ばず、ディーラーもまた選ばなかった(選べなかった)選択肢の正解率は2/3である。


……という形で、どうやら私にも理解できたのでしょうか?
どこか、まだ間違ってる部分があるかもしれませんが。


前に見た、「宿のボーイと消えた1ドル」みたいな問題を思い出しました。

http://oshiete1.goo.ne.jp/qa68004.html
30ドルではなく、3000円の問題もあったようです。
トリックというか、問題を解くための方法はちょっと違いますが。
でも一種の叙述トリックなのかな?そうなると、土橋真二郎作品にもそこそこ近いネタなはず。

もう1つの問題は、「3人の帽子の上のジレンマ」? 名前がよくわからない
3人の帽子(の上の玉)のジレンマ? - 囚人のジレンマλ[λ] ?
http://d.hatena.ne.jp/mind/20050827/p1