2009年5月11日月曜日

フリーのソフトなんてない(There ain't no such thing as a free soft)

アメリカの学校で先生がLinuxは無料でないと子供を叱責したという話に思う

このアメリカのカレン先生の英文がよく理解できない。
しばらく考える時間を要しましたが、リナックスが無料である以上、この先生がいくつか誤解していると考えるのが自然なので、先生の英文のほうも、「間違っている部分がある」という前提で読まないといけないのかもしれません。
そうなると、その誤解が具体的になんなのか、正しく理解したうえで読まないと、この先生の真意を読み取ることはできないということになると思います。
どう誤解していると解釈しているかで色々な日本語になると思うんですが、私なりの解釈を書いてみたいと思います。


まず、大雑把な話。

この先生は、学校でパソコンに無料のソフトとしてLinuxを入れていると自慢げに話している生徒と、その生徒が友人に無料だからとLinuxのCDを譲渡しようとしている場面を見たようです。
その際、先生はLinuxを何か違法な手段で取引されているソフト(海賊版の類)と勘違いし、生徒を叱り、さらに配布元へ抗議を行った……というものです。

しかし、Linuxは一応無料で配布されているソフトなはず。
中には、Turbolinux等、サポートを有償で用意していたり、または無料では配布していない有償のソフトウェアを用意していたりするベンダもあります。

また、このニュースを見たとき、もう一つの考え方として、
「フリーソフトウェアというのは、本当は『無料』という意味ではなくて、『ソースの閲覧、修正、再配布が"自由"』という意味で『フリー』なんだよ」と、生徒にフリーソフトウェア(改め、オープンソースソフトウェア)を理解させようとしたかったのかもしれない……と思ったりもしたんですが、まあ、詳しく読んでみたところその線もなさそうです。

フリーソフトウェアからオープンソースと呼び名を変えるまでの歴史

以下、ニュースソースとなったHelios linux開発者のブログ
Blog of helios: Linux - Stop holding our kids back

誤解がどの程度あるのか、難しいところですが、特に
"This is a world where Windows runs on virtually every computer and putting on a carnival show for an operating system is not helping these children at all. "
のあたりがわからない。このニュースを扱っている英語のページでも、「ここがわからない」と言っている人がいるのも見かけました。
その人に対して、「いいか、ショーを動詞として考えて、「カーニバルを見せる」と考えると分からなくなるんだよ。このshowを名詞だと考えれば、何も問題ないだろ?」
と答えてくれた人もいたんですがが、質問者からの返事はというと、「お前が理解していないことは理解した」という、2chみたいなやりとりになってしまっていました。

前半、「世界中で、ウインドウズが走っている世界であり……」みたいな部分は大丈夫です。
後半部分、
「~が子供達を助けることにはならない」という部分もだいたい分かるんですが、その前の「オペレーティングシステムで(に)カーニバルを映し出すこと……」あたりが今ひとつわからない。


誤解の内容は、「先生はLinuxを本当に無料だと知らない」と言う感じだと思っていましたが、いったいどのようにLinuxというものを理解しているのか……
どうも、Linuxという単語は知っていて、それが無料で配布されていることは知っているものの、そのLinuxを使うこと自体が犯罪性を帯びていると言うか、さらにはオペレーティングシステムさえも違法なソフトを指す言葉だと考えているように思えます。

私の解釈を書くと、

先生は、パソコンと言うものは全て(Macか)Windowsが入って動いているもので、それに対し、ライセンス的に不正に使用する方法として、「オペレーティングシステム」なる不正ソフトウェアを導入してコンピュータを無理やり動かす手法が存在している。その手法は「リナックス」と呼ばれ、アメリカほど豊かではないいくつかの国では、コンピュータを「正規の方法」で利用することができず、「リナックス」と呼ばれる不正ソフトウェアを書き込んで使用しているらしいという世界情勢を知っている。
また、先生はマイクロソフトに「古いバージョンのWindowsを無料で後進国に提供して、世界中の子供たちが不正ソフトウェア(オペレーティングシステムと呼ばれる怪しいもの)を入れることなくPCを利用できるようにしませんか?」と協力を求めるという大変ナイスなアイデアを抱いており、Heliosリナックスそれを提案すると共に、今回不正なソフトをばらまき、私の大切な子供たちに悪い知識を与えたあなたには法的、金銭的な制裁も辞さない

というところになるんでしょうか。
上に引用したカーニバルあたりの英文を考えると、「オペレーティングシステム」という言葉もまた、不正なソフトとして認識されているように思いました。オペレーティングシステムというものは、ウインドウズでコンピュータを動かす権利のない人がコンピュータに導入し、「ウインドウズを動かすために作られたコンピュータ」を不正に動作させるためのプログラムであると。
つまり、オペレーティングシステム=違法なソフトウェア。もしくは、Windowsはオペレーティングシステムではない。

そして、Linuxを使う人をdisadvantaged(恵まれない)と言っているので、この先生は「どこかの国で貧困の中、PCにLinuxを入れてカーニバルの動画を見ている人」というものをニュースか何かで見たのかもしれません。

カーニバルの動画を見るということも、教育的な意味でちょっと望ましくない可能性もあります。



……しかし、きっとそういうことではないはず。多分、PCに「オペレーティングシステム」が入っている時点で問題だと考えているはず。
disadvantaged……と出てくる文というのは、
I admire your attempts in getting computers in the hands of disadvantaged people but putting linux on these machines is holding our kids back.
disadvantageだと、「損害を与える」になり、「あなたのように資本主義経済に(マイクロソフトら正規のコンピュータ会社に、または子供達への教育に)損害を与える人」という意味と考えることもできますが……
きっと、「あなたは不正なソフトウェアを開発する(コピーする)ことによって恵まれない人にもコンピュータを使わせたいという善意から違法ソフトを配布しているのでしょうが、それはわが国の子供達には知らせるべきではないことです。」

と言いたいのでしょう。

そんなわけで、私の解釈による先生の手紙の訳。

ある日、ある生徒が、彼のラップトップPCと共に友人に囲まれている場面に出会いました。
どうやら彼はいくつかの用途にコンピュータを使って見せているようでした。その生徒は自分のラップトップPCの能力を見せて、そして"リナックス"のディスクを取り出してみせました。私はディスクを没収した後に、その生徒と面談を行い……という一連の出来事が、今私があなたとあなたの組織を見つける事になったまでの経緯ということになります。スタークスさん、私はあなたが自分のしていることに対してどんな強い信念を持っているのかも分かっているつもりです。しかし、あなたのやったことも、あなたが私の受け持つクラスで引き起こしたこの出来事についても、私には見逃すことができません。
現時点では、私はあなたの行為が違法であると言う根拠を持ちません。しかし、どんなソフトも無料であるはずがなく、誤解を広めるような行為は害悪です。子供達というものは大人を見て育つもので、それ故、大人は良い手本にも、悪い前例を示すことにもなります。近い将来、私は時間をみてこのことについて詳しく調べ、あなたに、あなたの行為が違法であることを通告せねばなりません。私は法律に基づいて、あなたに罰金の支払いを要求することになるでしょう。スタークスさん、私は大学で多くの"リナックス"を試みる人を見てきましたが、あなたの理想に満ちた主張は酷く水増しされ、しかもその中心は全くの嘘で、言い訳でしかない違いありません。あなたは不正なソフトウェアを開発する(コピーする)ことによって恵まれない人にもコンピュータを使わせたいと考えているのでしょうが、それはわが国の子供達には知らせるべきではないことです。

正しくは、どんなコンピュータでもウインドウズが走っているべきなのです。オペレーティングシステム上でカーニバルを上演することはこれらの子供達を助けることには全くなりません。私は、あなたがマイクロソフトにお願いしてみれば、古いバージョンのウインドウズを提供する以上の協力を喜んで申し出てくれるだろうことを確信しています。そうすれば、あなたのコンピュータはそれを受け取る人への本当の救いの手となるでしょう。



上の文章には、「近い時期に」とか、内容を伝わりやすくするために余計な部分がいくつか混じっていたりもします。
以下、訳す際に気にした部分。もしくは、訳が難しくて間違っているかも知れない部分等のメモ。

Mr. Starks
スタークスさん。Helios linuxの開発者もしくはスタッフ

I am sure you strongly believe in what you are doing…
なんとなく"確信犯"という言葉が思い浮かぶ文です。多分、古式ゆかしき"確信犯"のほうの。先生は、「貧しい人のためを思って不正ソフトウェアをコピー、流通させる」という形で、リナックスを配布していることに一つの「錦の御旗」が存在していることを認めているようです。そして同時に「それは結局欺瞞でしかなく、結局あなたは海賊版で不正使用したがっているだけで、さらには周囲にまでそれを広めようとしている迷惑な存在だ」みたいな解釈をしていることも後の方で読み取れます。
また、そもそも確信犯という言葉との関連を論じている部分でちょっと話はズレつつあることはわかっているんですが、近年かなり市民権を得ている方の"確信犯(故意犯)"として考えてみても、「違法でマイクロソフトが不利益を被ることは分かってるけど、害を与えたいんだからいいんだよ。別に違法だってなんだって」みたいな行動と捉えているとしても、間違ってはいない気もします。どちらでもいいことですが。

No software is free and spreading that misconception is harmful.
"どんなソフトもタダであるはずがなく、誤解を招くような謳い文句は害悪である。 "
上にも書きましたが、私は、
「リナックス=よくわかんないけどコンピュータを違法に動かすためのもの。警察機構が上手く働いていないか、経済上やむをえないという理由で、後進国では黙認されているもの」
と先生は解釈しているものと読み取っています。

if you are doing anything illegal,…
もし違法行為であったなら
私には、このifがどの程度の確率を見込んで使われているのか判断できません。日本人が英語を読むときの感覚だと、「もし」ときたら、それほど実現の可能性はないというか、ある程度「違法ではない」可能性が残されているようにも思います。
日本語でも、100%確信しているときでも「仮に」とか、「~としたら」みたいな言い方をすることも普通にありますし、この先生もこのメールを書いていた時点で、かなりの高い確率で(もしくはほぼ確実に)リナックスが違法なものであると立証できると思っているのだろうと思います。


I will pursue charges as the law allows.
chargeはお金が主な意味なのではないでしょうか。他にも"罪"とかの意味にもなります。
pursue=求める、追求するとあわせて、「罪を追求する」「罰金を科す」「お金を要求する」みたいな意味になると思うんですが、これが刑事罰の上での罰金を科されるよう(罪に問われるよう)告発するということなのか、自分の教室で起こったことに対する民事上の損害賠償を求めるつもりなのか、ちょっと判断ができません。訴訟大国とか呼ばれてますし、法外な(でも法律内らしい)金額を要求するつもりだったりしたのかもしれません。

I along with many others tried Linux during college
読めはするけど解釈に困る文。
多くの人と一緒に大学でリナックスを試みた?
along withには「一緒に」とか「協力して」とかいう意味があるようです。
大学の友人と一緒にリナックスの勉強をしたり、コンピュータの授業でリナックスを使っての課題をこなしたりする必要があったのでしょうか?だったら、リナックスに対してもっと理解があってもよさそうです。
そんなに一緒だったり協力して使っていたりとかでもなく、もっと遠い関係、たとえば、「知り合いにいた」とか、「大学の同級生には、そういうのもいた」くらいになるかもしれません。
リナックスを試みるという部分も、実際、友人の一人がリナックスを使っているらしい、と話には聞いたことがあったのかもしれません。しかし、先生のリナックスへの理解を考えると、先生の中で、「リナックスを試みる」は、「(Winの)海賊版等を違法に入手し、タダでパソコンを使うこと」に相当しているかもしれません。
実際のところ、その友人、知人というのも、普通にリナックスを使っていたわけでもないのかもしれません。フォトショップなんかの海賊版のソフトを入手して使っていたり、それを配ったりしていたやつがいたということを指して「なんかそんなことしてるやつは、学生時代にも話には聞いていた」と言っているのかもしれません。
いずれにせよ、先生は学生時代から「リナックスだかCDRに焼いたWinXPだか知らないけど、タダに近い値段で取引されるソフトがあるらしい」という程度の浅い認識のみで、このあたりのものを全て違法なものと思い込んでいたんでしょう。

the claims you make are grossly over-stated and hinge on falsehoods.
あなたのした主張は……酷く水増しされた、嘘の中心
overstatedが水増しする、 hinge=中心 falsehood=嘘
ということで、「貧しい人のため」とかは本当のところは嘘で、結局は自分が不正に使用するためにネットを探してインストールディスクのデータを入手し、それをクラックして路地裏でコピーCDで売るか、ネットでタダで流して自己満足に浸りつつ著作権侵害してるかあたりだろうと考えているんだと思います。

run virtually
事実上、ほとんど
ほとんど全て、Windowsが動いている、もしくは、「売られているコンピュータは、事実上、Windows用に作られたものである」というあたりでしょうか。
高校のころに語彙を試す試験で知ったのですが、virtualは「実在する」みたいな意味になるらしいですね。
goo 英和辞典で、「virtual」

2つ目の意味に、一応「仮想的」とか出てます。テストで出た「Virtually」とかだと、もう「実質的な、事実上の、ほとんどの」としか出てこない。

元々は、コンピュータ上には実在している、しかし、物質的には実在していない……という形でヴァーチャルメモリ、バーチャルホスト、バーチャルリアリティという言葉が生まれたのだろうと思います。きっと。

高校時代も、クラスのほとんどが「仮想的な、存在しない」みたいな意味に捉えて間違いと採点されました。もちろん、当時のわたしも。

putting on a carnival show for an operating system is not helping these children at all
読めないだけじゃなく解釈に困る部分。
put on 上演するとかの意味もありますが、カーニバルって本当に動画のカーニバルでいいのでしょうか?
「違法ソフトウェアてんこ盛りで酒池肉林」みたいな意味だったりしないかな?とか思ったりします。
childrenも、教室の子供達でしょうか、世界中で飢えに苦しむこどもたちでしょうか。

your computers would actually be of service to those receiving them...
これは、コンピュータを受け取ることになる人に、(古くてもウインドウズを入れたコンピュータをあげるようにしたほうが)本当の意味で正しいサービスを提供することになるといっているのでしょうか。
サポートされなくなった古いWindowsなんてかなり危なそうですが。

情報処理推進機構:情報セキュリティ:ウイルス・不正アクセス届出状況について(2007年4月分)

今月の呼びかけ:
 「 サポートが終了したOSを搭載したPCの危険性を認識しよう!! 」
― ぜい弱性(*1)が解消できず、被害に遭う可能性が極めて高い!! ―

2009年5月5日火曜日

状況開始っ!

この概要は表示できません。投稿を閲覧するには ここをクリック してください。

2009年5月1日金曜日

コラーゲン梅酒

ブログペットの下の広告に、萌え萌え二次大戦の梅酒が出てきました。
島根県石見銀山の村おこし「石見銀山の梅酒」 で、以前の「にごり梅酒」とはまた別に、今度は「コラーゲン梅酒」だそうです。
「コラーゲン梅酒」については私は今日初めて知りましたが、こちらは前のときに比べ、ニュースサイトとかであまり取り上げられていなかったのでしょうか。(そうでもない?)

以前の「にごり梅酒」はゲームキャラの普段の服装そのままなパッケージでしたが、今度はスクール水着or下着のパッケージに。
作中に登場するイラスト(CG?)なのでしょうか。なんとなくPCゲームの店舗別特典テレホンカードみたいな感じになってきたような。

それでいいのか、島根


私も、2月ごろ発売された梅酒2本を一セット買ってあり、ときどき飲んでいます。まだ一本と1/3くらい残っている状態です。
酒の味とかはかなりわからないですが、近所で買える梅酒とかと比べると、ちょっと酸味が強いです。
風味もかなり梅の味……というか、梅干を思い出す味がします。まあ、本来梅酒というのはこういう味なんでしょう。

近所で買える、缶だったりパックだったりする梅酒は、結構どれも同じ味に思えます。そして、「梅っぽくない味だなあ」と思いながら飲んでいました。
そういうのとは明らかに違う味なわけですが、酸っぱいものが苦手な人だったりすると、逆に苦手な味になるかもしれません。


一宮酒造HP 「石見銀山」村おこし協力酒販店一覧

バナーも見つけたので、張っておきます。
世界遺産×梅酒×萌え戦略!?“萌えにごり梅酒”応援中! “萌え梅酒”第2弾を緊急発売!乙女のたしなみコラーゲン梅酒 応援中!


母の日ギフトもありました。
こちらは二次大戦ではなく。

母の日にコラーゲン梅酒